徒然草をすべて読破すると、兼好法師の裏の顔が見えてきて、楽しい。

ブログ
徒然草 第二百四十一段
現代語訳  月が円を描くのは一瞬である。この欠けること光の如し。気にしない人は、一晩でこれ程までに変化する月の…

人間、何をやっても、何もやらなくても後悔するのが常ですね。結婚しても後悔するし、結婚しなくても後悔する、という話に通じるものがあります。だからこそ、自分が本当に求めるものを探して、そして、自分の心が喜ぶことをやるのが楽しいし、正しいです。人間、楽しい思い出だけしかもてないのかもしれません。

 

徒然草 第百九十三段
現代語訳  知識の乏しい人が、他人を観察して、その人の知能の程度を分かったつもりでいたとしたら、全て見当違いで…

批判するというのは、人間、まだまだ完成していないということかもしれません。賢い人は、口をつぐんでいる、というのもありますね。まぁ、悪口から喧嘩や諍いがはじまるというのもよくあることです。いやはや、私にとってみても、耳の痛い言葉です。そういうことをビシッといえる兼好法師は偉いですね。

 

徒然草 第百七段
現代語訳  「突然の女の質問を、優雅に答える男は滅多にいない」らしいので、亀山天皇の時代に、女達は男をからかっ…

なんていうか、兼好法師、達観してますよね。教科書の掲載されないだろうなという辛らつさが見事に表現されています。しかし、内容はビシッとしていまして、反論することができないな、という雰囲気があります。こういうのがあるから、徒然草は名作ということなんでしょうか。

 

徒然草 第三十八段
現代語訳  人から羨望の眼差しで見てもらうために忙しく、周りが見えなくなり、一息つく暇もなく、死ぬまでバタバタ…

これは現代の日本人に伝えたいことかもしれません。FIREして、引退して、悠々自適に過ごす、っていうのは根本的に間違ってるのかもしれない、と思わせます。でも、そもそも、兼好法師は悠々自適に過ごしていましたよね。悠々自適に過ごすということは、そういうことなのかもしれません。

 

徒然草 第二十六段
現代語訳  恋の花片が風の吹き去る前に、ひらひらと散っていく。懐かしい初恋の一ページをめくれば、ドキドキして聞…

恋とか別れとか、そういうのはいくら時代が経とうとも、変わらないものですよね。こういうところにも切り込んでいくのが心憎い感じですね。

 

徒然草 第八段
現代語訳  男の子を狂わせる事といえば、なんと言っても性欲がいちばん激しい。男心は節操がなく身につまされる。 …

こういうのもいいです。生きているから、笑いがある、みたいなところもあります。

 

徒然草 第七段
現代語訳  あだし野の墓地の露が消える瞬間がないように命は儚く、鳥部山(とりべやま)の火葬場の煙が絶えないよ…

これは名文ですね。神道と仏教が掛け合わされて、融合した哲学がありありと表現されているような気がします。現在、生きている私たちにとってすれば、希望や欲望はかなえるものである、という感覚がありますが、昔はあきらめるのがてっとりばやい、みたいな感覚もあったのかなと。すべては煙のようなもので、夢や幻である、みたいな雰囲気が伝わってきます。

 

徒然草 第一段
現代語訳  さて人間は、この世に産み落とされたら、誰にだって「こういう風になりたい」という将来のビジョンが沢山…

徒然草を通読して思ったこと、それは清少納言の枕草子を意識して書かれているのではないかなと。あるいは、枕草子をお手本にして、徒然草を書いたような気がしました。美意識や価値観や哲学を徒然草で構築しているような雰囲気も感じられます。それだからこそ、徒然草は価値のある言説なのですが、一歩、枕草子を超えられてないような気もします。男版枕草子かもしれません。

コメント