井上雄彦のリアルの1巻から14巻までまとめて貸してもらっていたのですが、最近、ようやく時間と余裕ができて、リアルを一気に全部読みました。感想としては、読んでて、じわじわ辛いのですが、おもしろかったです、続きが早く読みたいですね。特に最初の巻の方が辛い話が多いです。
話の内容としては、車いすバスケに関わる3人にまつわる物語ですね。車いすバスケといえば、やはり障害者の話が避けては通れないですね、辛くて、重いです。少年ジャンプではできない重さを感じます。ちなみに4年半の休載を経て、ヤングジャンプで2019年5月23日から連載再開しているそうです。
リアルを読むことで、障害者や車いすバスケのことを知ることができました。絶対辛いですよね、歩けなくなるというのは。いや、それどころか、それ以上の難病の人も登場していて、なんともやりきれなさを感じました。本当にリアルな話です。少年漫画にはない重さです。
ただ、黒くて、ドロドロで、絶望ばかりかといえば、そうではなくて、リアルだからこそ、本気で感動できるポイントがあるんですよね、泣けます。他にもダメ人間の主人公がプロバスケットボールの試験に果敢に挑んでいく姿や、常に前を向いているプロレスラーの話は心が元気になれました。なんというか、一瞬でも光が見えたなという感じでした。
そもそも、なんで私がリアルを読んでいなかったかといえば、そういう系の話、苦手なんですよね。バガボンドはずーっと前から読んでいたので、リアルのことは薄々知っていました。でも、なにか嫌な雰囲気を感じて、読んでいなかったのですよ。1巻の表紙の絵からなにか伝わってきます。目付きの悪い不良からビンビン伝わってきます。
まぁ、リアルを借りて、読んでみての感想は、リアルはスラムダンク2だな、という感じです。他にもバガボンドみたいなキャラクターが出ているので、井上雄彦の集大成ともいえるかもしれません。この重厚さは並の作家では表現できない域まで達しているなと思うわけです。
このキャラ、仙道っぽいなというキャラや、流川みたいなキャラや、桜木みたいなキャラが出てきます。あるいは、スラムダンクやバガボンドで見かけたようなキャラクターもいて、なんとも楽しいです。そういうのを比較して、考察しながら読んでみるのもいいかもしれません。
というわけで、スラムダンクがおもしろかった人は、リアルも読んでみるのがいいでしょうね。ただし、スラムダンクほどは友情・努力・勝利の方程式が通じません。というわけで、スラムダンクほどは爽快感がなく、ハッピーエンド感もありません。なぜなら、リアルな話だからです。
現実の話というのは、ハッピーエンドだけではないですよね。たとえ、何かに勝利したとしても、その先には敗北というものが待ち構えているものです。というよりも、何が勝利なのか、何が敗北なのかすら、わからないことがあります。現実の話はかんたんではないのです。
まぁ、私はリアルよりもバガボンドの方が好きだったりします。世間的には不評みたいですけど、特に農業編が傑作だなーって思っています。なんというか、戦うことから解放されたあたりが救いというか、希望があるような気がしたのです、少年漫画の新しい道筋の気がしたのです。
井上雄彦はスラムダンクにせよ、バガボンドにせよ、リアルにせよ、戦うことからの解放にまでに到達したのかもしれません。それにより漫画の連載の休載という現実に達したのかなと思ったりもします。ある意味、いずれ人類が到達しないといけない大きなテーマなのかもしれません。戦わないというテーマです。
正直なところ、勝利して一体、何の意味があるのだろうか、というレベルまで考えてしまいます。確かに、戦争や争乱の時代は、自分とその周りの人が生き残ることが唯一の至上命題ともいえますが、平和な時代、あるいは、生存を許された時代では何の意味があるのか?という話です。
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